手段の目的化、目的のすり替えに要注意

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昨日は行為の中に目的まで含むエネルゲイア(活動)の話をしましたが、
それと混同しがちで、
誤解を招きやすいものに、
「手段の目的化」があります。

遊びたいから遊ぶ。
食べたいから食べる。
働きたいから働く。
山に登るために山に登る。
旅したいから旅をする。

目的と行為が一致しているのがエネルゲイア的です。

さて、
では次のような事例はどうなのでしょうか?

新しい商品企画について上司にプレゼンをする必要があり、
資料の準備をしていました。
資料を作成するにあたって、
パワポの修正に仕事の大部分の時間を使ってしまいました。
ついつい、細かいところが気になって、夢中になってやっていたら・・・。

ビジネス英会話の力をつけるために、
英語の勉強を始めようと考え、
まずは英語の勉強法の本を読み始めました。
勉強法の本を数冊読むにつれて、いろんな勉強法があることを知り、
自分にあった方法が何かを考えるために、
もう少し勉強法の本を読もうと思います。

本来の目的のためのただの手段が、目的となってしまうケースはよくあります。

商品企画のプレゼンの場合、
自分の考えた新しいコンセプトや企画が上司に伝えることが目的であり、
資料をきれいにつくることは手段の1つでしかありません。
資料が汚くても、面白いと思ってもらえたり、良さが伝わったら良いのですから。
表を整えたり、図を整えることに力を割いても仕方ないですね。
資料をきれいに作ったり、パワポの修正に夢中になれるのは大きな力であり、
エネルゲイア的といえます。
資料をきれいにしたいからする、ということで。
ただ、それよりは、商品企画のプレゼンの方をエネルゲイア的にしておいた方がはるかに効果的だということです。
資料の修正という手段ではなく、伝えるという上の次元にたって夢中になっていた方が良いでしょう。

英会話の勉強も同じです。
英語の勉強法、英会話の勉強法にいくら詳しくなっても、
英会話は上達しません。
英語を使わないと、ですね。
英語をどのように学んだら良いかというノウハウ収集はただの手段です。
それを目的にして、それ自体に没頭してしまうと、
本来たどり着きたいところとは全く別のところにいきます。
英語の勉強法の専門家になれるものの、英語は上達しないという悲劇です。
英語の勉強法を学びたいから学ぶのであればエネルゲイア的ですが、
これもやはり、英語上達、英会話の上達を目的にして没頭した方がはるかに効果的でしょう。

どの次元を目的とするかで、
到達するところは全く変わってしまいます。

一方で、
注意しないといけないのは、
ただの資料作成、ただのパワポの修正とすると、他の目的のための行為となりキーネーシス(運動)となります。
ただの英語の勉強、英語の勉強法の調査となると、キーネーシス(運動)となります。

資料作成、パワポの修正、英語の勉強にも意味や楽しみや喜びを見出せたら良いですね。

手段の目的化が進むと、
本来の目的の重要性が下がり、
全く違う結果になることがあります。

一方で、
ただの目的達成のための一手段としてしか位置付けられないと、
キーネーシス的となり、非人間的な活動ともなりやすいものです。

そういうバランスの中で、
いろんな行動が位置づけられているのが、人間の行動ともいえます。

手段の目的化、目的のすり替えには要注意です。

<まとめ>

■上位の目的を達成するための、一手段が目的化してしまうことが多々ある。
重要ではない些細なところに没頭したり、時間をかけてしまうというものである。

■没頭すること自体は悪いことではない。
エネルゲイア的であり、人間的な活動といえるのだから。
しかし、大きな目的を見失っていると、本来望んだところとは違うところにいってしまうので、
目的の位置づけ方には注意が必要である。

■一方、ただの目的達成のための手段・行為として位置付けるとキーネーシス的になる。
それは非人間的な行為になりやすいものである。
大きな目的の中で位置づけ、なおかつその過程の行為にも意味ややりがいを見出していくのが良い。

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