ヨソ者、若者、バカ者は郷に入っては郷に従うものなのか

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郷に入っては郷に従え

という言葉があります。

風俗や習慣はその土地によって違うから、
新しい土地に来たら、その土地の風俗や習慣に従うべきだということですね。

ある組織に属したときは、その組織の規律に従うべきだということでもあります。

地域を変えるのは、

ヨソ者、若者、バカ者

とよく言われます。

その地域の風俗や習慣などをわからない人、

組織の風土をわかっていない人が、

新鮮な見方や考え方で新しい風を吹き込んで、

その地域や組織を変えていくものです。

郷に入っては郷に従え

というのは、

その地域や組織のやり方に一旦染まることを勧めているように思えますし、

ヨソ者、若者、バカ者が地域を変える

というのは、

それまでのやり方に従わずにどんどん自分のやり方を発揮していくように思えるかもしれません。

その地域や組織のやり方を学んで合わせていくのも学びであり、教育であれば、

その地域や組織のやり方を変えていくのも学びであり、教育です。

どちらかだけ、

ということは、

まず、ないでしょう。


両方、

つまり、

地域や組織が個人を同化させる力と、

個人が地域や組織を変化させていく力と、

双方の相互作用の中で、

人も地域も組織も変わっていきます。

受け入れられるというのは、

大事なことです。

その地域や組織の文化を知り、学び、リスペクトする中で、

その地域や組織の人たちから認められ、受け入れられていきます。

正統的周辺参加の観点からも、

コミュニティに受け入れられることが重要だと言えます。

そこでは、

郷に入っては郷に従え

ということが出て来ます。

まったく、地域や組織の文化ややり方を学ばずに主張だけしていても、

受け入れてはもらえません。

一方で、

単に、そこでのやり方に合わせるだけでは、

変化も違いも生じません。

地域や組織に入った時の、

違和感やささいな疑問は意識的に書き残すなどしておくと良いでしょう。

慣れてしまうとそういった違和感や疑問は忘れてしまいます。


なんでこんなやり方をしているのだろう、

もっとこうすればいいのに、

こう変えれば良くなるのに、

こんなことは試せないか、

といった違和感や疑問については、

意識的に記録に残しておきたいものです。

あたり前や考え方が違うことから生じてくるものですが、

これが地域や組織を魅力的に変えたり、イノベーションにつながる種になったりします。

ただ馴らされるだけ、

ただ合わせるだけではなく、

ちょっとした違和感、疑問、気づきが、

地域や組織を変える宝になります。

郷に入っては郷に従え、

だけではなく、

地域や組織を発展させる、

ヨソ者、若者、バカ者の視点を持っておきたいものです。

地域や組織に受け入れられる中で、

こうした違和感や疑問や気づきを問題提起として投げかけながら、

もっとよくできないかと模索していく中に、

個人と地域と組織の発展的な学びがあります。

成人教育の文脈でもよく紹介される実践コミュニティ理論では、

実践コミュニティに参加する中で人がいかに学ぶか、

また、実践コミュニティがいかに発展するかに注目しています。

簡単に理論の一部を紹介すると、

新参者が正統的周辺参加と呼ばれる関わりをしていく中で、

実践の方法やコミュニティの一員としてのアイデンティティを形成していくということになります。

参加には正統性が求められます。
適切な手続きを踏んで、そのコミュニティの一員として認められることです。

コミュニティのメンバーから一員として認められていないという状態では、実践の習得につながりづらいものです。

また周辺参加として、
多様な関わり方を認めるところがポイントでもあります。

参加している一人一人の関わりは様々で、
そこで観察したり、実践の一部を担うようになります。

イノベーションにつながる変化はこのような周辺で生じやすいものです。

コミュニティの境界付近ともいえます。
外部との接触ややりとりなどですね。

異分野との混じり合いや相互作用が生じる周辺の視点を取り入れることで、

実践コミュニティも発展していくのです。


郷に入っては郷に従え

ヨソ者、若者、バカ者が地域を変える

どちらかだけではなく、

双方の視点を統合したところに、

個人とコミュニティが変わっていく学びがあります。

相互作用や関係性の中に、知識も学びも埋め込まれているのですから。



<まとめ>

■郷に入っては郷に従え、という視点は、
地域や組織に受け入れられる際には極めて重要である。
その文化ややり方を学び、リスペクトする姿勢が必要である。

■一方で、ヨソ者、若者、バカ者が地域を変えるということもある。
何も知らない先入観を持たない者が、
あたり前や前提を変えて、大きな変化につなげる事例は多数ある。
これは個人が地域や組織を変える教育的な働きかけでもある。

■組織が個人を変え、個人が組織を変える。
双方向の学びがそこにはある。
それを支えるのは双方のリスペクトであり、周辺の重要性への認識でもある。

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