相手が言っていることに対応するのではなく、本当の課題に対応する

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(Photo by rawpixel.com on Unsplash)

「点滴をしてください」
と言って、病院を訪れる高齢の患者さんがいたそうです。

「なんとなくしんどいんです。いつも点滴をしてもらうと、元気になったような感じがするんです。だから、今回も点滴をしてください」

患者さんの表面的なニーズは、点滴、です。
いつも点滴をして、元気になると帰っていくお年寄りの患者さん。
病院も忙しいので、点滴をして元気になって満足して帰っていくおじいちゃんには、いつも通り点滴をするのが楽にすみます。

長々と検査をしたり、話を聞いたりするのではなく、いつも通り、点滴。
時間も短縮でき、患者さんも満足、病院も満足、Win-Winです。

でも、
やっぱり、そういうところに落とし穴がある、とある医師の方から話を伺いました。

「忙しいから、点滴をして帰ってもらうというのは楽なんですけど、何かしんどいから病院にきているわけなんですね。その根本の原因を見つけて対処しないといけないことがあります。点滴が身体に負荷をかけてしまっている場合もあるので。今までは点滴でよかったかもしれないけれど、今回は何が病気が原因かもしれない」

と。

「実際に、詳しく検査をしてみたところ、なんとなくしんどいと言っていたケースで、循環器系に病気が見つかり、命に関わるという患者さんでした」

と。

今まではちょっとした体調不良で、点滴をすればよくなっていた。患者さんもそれでよくなっていたので、今回も点滴でよくなると思っていた。点滴でいいので、早くやってほしい、という要望があった。

この表面に現れているニーズに対応すれば、一応患者さんは満足して帰るかもしれません。

でも、本当にそれが相手のためになるのか、根本的な対応としてそれがベストなのか、それを考えられるからこそプロフェッショナルですね。

相手が言っていることに対応するだけではなく、

真の問題や真のニーズは何か、
潜在的な問題や潜在的なニーズは何か、
根源的な課題やボトルネックは何か、

それを突き止めてこそのプロです。

以前まで検査で異常がなかったし、今回も患者さんの言う通りに点滴でOKということではないですね。

教育にもあてはまることがあります。
「〇〇を学びたいです」と相手が言ってくることがあります。
当然ながら、本人が学びたいとニーズを表明しているので、それを教えてあげたり、学んだりできるようにしてあげたらよさそうです。

でも、
どうしてそれを学びたいのか、
何を目指しているのか、
何を課題だと感じているのか、

それらの潜在的なニーズや課題を捉えてみると、本当に学ぶべきことは別のことなのではないかとわかることがあります。

何を学んだらよいか、本当に学ぶべきことをアドバイスできるのも、プロの仕事ですね。

「点滴をしてほしい」「薬がほしい」という患者さんの表明されたニーズと、その背景にある潜在的なニーズの双方を踏まえて、本来的な対応ができるのがプロだよなと感じました。


<まとめ>
■相手が求めていることに単に対応するだけではなく、その背景や根本的な部分を把握して対応できるのがプロである。
■本当の課題はこれではないか、ボトルネックはこれではないか、と見抜く力が重要である。
■相手が学びたい、知りたいということに答えるだけではなく、どうしてそれを学ぼうとしているのか、知ろうとしているのかまで把握して、相手が気づいていなかったことまで気づかせてあげるのがプロである。

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