あなたは何者か?『beの肩書き 「人生の肩書き」は、プレゼントしよう』(兼松佳宏)

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京都精華大学人文学部特任講師の兼松佳宏さんの本、

『beの肩書き 「人生の肩書き」は、プレゼントしよう」
は、読みやすく、とてもおもしろい本です。

たいてい、肩書きというと、
マーケティング部 部長
教育学部 教授
営業部 課長
などというような所属立場を示すものだったり、

Webデザイナー
新聞記者
教員
医師
というように、
何をやっている人かで示すものだったりします。

兼松さんがいう、
beの肩書きのおもしろいところは、

自分のあり方に関して肩書きをつくろう
という部分です。

兼松さんは、自分に「勉強家」という肩書きをつけています。

これは、
何をする人か、どんな職業か、
というのを表す感覚からすると、
え、勉強家ってなんですか、
という印象や混乱をもたらすのではないでしょうか。

僕もはじめて聞いた時、
え、勉強家ってなに?
って思いました。

それ、仕事になるの?
です。

でもここでいう「勉強家」こそが、
beの肩書きであり、
自分はこういう者ですよというのを、
しっくり表現できるものなのですね。

勉強するのが好き、
何かを学ぶのが好き、
本を読むのが好き、
図書館が好き、
深めるのが好き、
そんなことに触れられている自分が幸せ、
というような、自分の存在を表す肩書きこそ、
beの肩書きといえます。

僕の場合、どうだろうと考えてみました。

・研究者
・教育学者
・教育者
・大学教員
・コンサルタント
・コーチ
・講師
などなどが、
やっている仕事などから考えて、
doの肩書きにあたります。

そしてその奥には、
自分がこうありたい、これが好きというものがあり、
本を読むのが好き、
温泉をめぐるのが好き、
自然に触れているのが好き、
新しいことを知るのが好き、
物事を深めるのが好き、
旅をするのが好き、
友人とお酒を飲んで語るのが好き、
子どもと遊ぶのが好き、
一人の時間を味わうのが好き、
などなどがあります。

これらを表現するのに、
子どもの頃から憧れだった、
「旅人」
という肩書きが、しっくりくる感じがします。

さらにいえば、
「学びの旅人」
です。

いろんなところに行き、
いろんな本を読み、
いろんな人の話を聞き、
いろんな講座などで学び、
いろんな経験をして、
自然に触れ、
いろんな歴史や文化に触れ、
新しい発見や気づきにわくわくして、
自分が触れてきたことを仲間と共有して、
ワイワイと楽しんで、
日常と非日常を行ったり来たりして、
そんなことをやれたらなぁ、
と思っているので、
「学びの旅人」です。

自分のこれまでの人生を振り返っても、
楽しかったこと、幸せだった時間、費やしてきた時間、
というのは、
きっとそういうところにあるのではないかと感じます。

「学びの旅人」としての自分が、
大学で研究をしたり、教育をしたり、社会の中での学びに関わったりしているのです。

宮本常一の『忘れられた日本人』の中に、
次のようなことが書かれています。

日本の村々をあるいて見ると、意外なほどその若い時代に、奔放な旅をした経験をもった者が多い。村人たちはあれは世間師だといっている。

外の世界をみてきた人が、
その村にいろんな情報をもたらしてくれます。

アカデミックの世界も、
教育の世界も、
ソーシャルの世界も、
ビジネスの世界も、
いろんな世界を旅して、自分自身が学びながら、それを共有できるような人でありたいなぁ、と思うのです。

最後に、このbeの肩書きで大切なこととして、
他人から肩書きをプレゼントしてもらうとよいのではないか、
ということも指摘されています。

肩書きというのは、
自分だけのものではなくて、
自分と他者の間で、私はこういうものです、あなたはこういう者なのですね、と橋渡しをする際に機能するものだからですね。

また、案外、自分のことは自分でわかっていなかったりするので、
他人からプレゼントしてもらうというのは魅力的に感じました。

そのためのワークショップの方法なども書かれていて、
身近な人とやってみるとよいのではないでしょうか。

仕事ややることはどんどん変わっていってしっくりこなくなったとしても、
自分の存在やアイデンティティの軸となるような肩書きは、
長期的な時間軸からも効果的だと思います。

何より、力づけられますしね。

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